サダの事件簿 菊池貞幸

 実際に北海道で警察官をしていた人の話。私の品性と比べて、この人の品性は本当に尊敬に値すると思う。特に第3話の家出娘(不良少女の更生の話)には感心した。ちゃんと叱ることだ大切だがその叱り方が刑事の仕事からの経験が聞けて参考になる。養護教諭から、教え子の女子生徒がチンピラの家に入り浸りになっている、連れ戻して欲しい、との依頼を受ける。早速出かけて、居留守を使うチンピラの家の前で、「16歳の女の子と遊ぶと合意があっても条例違反になる」と脅しをかける。娘は自宅に戻るが、「なぜ警察に行ったのか」と逆ギレしているので、娘を叱ってほしい、と電話が入る。茶髪の娘はサダさんを見て出ていこうとして止めても無視する。ここでサダさんは、「こういう娘は優しい言葉だけじゃダメだ」と判断して、「サカリのついたドラ猫じゃあるまいし、学校をさぼって男あさりをしているのか」娘は目を皿にして怒り、「なに、言ってんのさ」私は娘の襟首をつかみ、軽く足払いを掛け、床に叩きつけてやった。娘はそのまま泣き伏す。これはまずかったのかなと思うが、父親に矛先を向け、「やいやい親父さんよ。こんなになるまで良く放っておいたな。バカ親父さんよ。あんたがバカ娘を甘やかして育てるから、このざまよ」と、娘の前で思い切り罵倒した。娘がそのとき、泣き顔を私に向け、「お父さんは悪くない」、仕事は終わったな、と私は思った。→私にはとてもできなかったが、この一連の呼吸ってとても凄いと思います。この後、娘は更生し、チンピラも事件を起こさなくなる。どういう相手であっても気にかけて連絡を取り続けていれば、事件が事件にならずにすむ、という彼の哲学を聞かされる。 又第4話の自転車泥棒も青少年の歩道の話だ。自転車のかっぱらいの少年とのやり取りが面白い。目を付けた男子生徒の横にさりげなく近づき会話を聞く。「チャリ、かっぱらっていくか。」「おう、これ、鍵ついていないぞラッキー」これを聞いた後、少年たちに近づく尋問する。警察だと知り青ざめて、「借りるつもりだったんです」「何をふざけたことを言ってやがるんだ。お前たちの会話を聞いていたら、チャリ、かっぱらうと言っていたじゃないか」「本当に借りるだけで後で返しに来るつもりだったんです」と更に言い逃れようとする。→ここで負けずに「寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ。中略 そんな屁理屈通用すると思ってんのか。おい、こら。」一括すると。高校生らはとたんにシュンとして、「僕たちが間違ってました」と深々と頭を下げた。謝られると弱いサダさんはそのまま説教をして放免する。そのすぐ後に、常習の不良少年を捕まえるが、盗まれた自転車の持ち主の主婦に、自分で稼いだ金で、弁償するように進める。実際に彼はダムでアルバイトをして、返金し、更生していく。 第9話 一人の韓国人の生涯 この話は北海道に住み着くことになった、韓国人の話だが、彼は韓国で農家の長男として生まれたが、日本の官憲に無理やりに樺太の炭鉱に連れていかれる。ソ連軍の侵攻から逃れる途中、彼は日本軍に焼き殺されかけるが逃れて、ソ連軍につかまり、日本人女性と結婚し、韓国への引き上げができず、やむなく妻の実家の北海道にやってくる。その後の彼の苦労話が続くが、やはり日本は韓国にひどい事をしていたのだなあ、という事実を知り、今の日韓の事件を聞くたびに少し違う印象を持つようになった。

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