思い出すのは祖父母のこと

 昼食の弁当をほとんど一人で食べ、ビールも一缶空ける。多分酔ったのだろう。テーブルでこっくり、こっくりとしだし、突っ伏してしまう。起こしてベッドに行こうというと、「はい」と元気よく返事をするが、動こうとしない。又声を掛けると、「はい」と元気よく返事をする。それを何回か繰り返した後に、やっと引っ張って立たすことができた。ずっと支えてベッドまで連れていくが、横になれない。何とか足をベッドに上げるが、頭が枕まで届いていない。寝てすぐに、「暑い」としきりに言う。扇風機を強にするが、また「暑い」というので、窓を閉めてエアコンを掛ける。しばらくすると、「首が痛い」というので、なんとか上に引きずり上げる。私の顔を見て「お母さんは?」と尋ねる。母の母はもう40年以上も前に亡くなっている。「もう死にはったやんか」というと、うなずいたが、眠りにつきながら、「お母さん、お母さん」と何回か言って、涙を流している。もう、母は99歳だが、何かにつけて、母の父母の事を呼び掛けている。この年になっても思い出すのは自分の両親の事なのだろう。母はよく祖母のことを、面倒くさそうに言っていた記憶があって、「母は祖母の事を嫌っているのかなあ?」と考えていたことがあったが、決してそうではなかった。祖母の葬式のときに、泣き崩れていた姿を思い出す。自分がもうすぐ、この世から旅立つことを始終考えて、祖父祖母の事をどう思い出しているのだろうか。

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