本を1冊だけじっくり読む

少し前まで、気に入った本は、主に時代小説を予約しては読んでいた。借りれるようになった本が重なって、図書館のカウンターで数冊まとめて借りることもあった。当然だが2週間の間にそれを読まないと返却期限までに間に合わない。結構プレッシャーである。読み終えないまま返してしまうこともあった。本の貸借に図書館に出向くことも面倒なので、本を沢山借りることを止めてみた。今まで読みたい本はすぐに予約をかけていたが、そこを我慢した。今一冊だけ手元にあって、それだけを読むようにしている。さっさと読み進める本ではないが、プレッシャーを感じることなく読めて気持ちが落ち着く。

取次屋栄三の「喧嘩屋」と「夢の女」

この2巻を時間をかけて読んだ。巻を追うにつれ、ますます物語にひきこまれるようになった。特に昔なじんだ女性の子供を引き取り、一緒に生活をし、そして子供の叔父が引き取りにくるエピソードでは、その一連の登場人物の心の高まりや、やり取りに思わず涙した。「夢の女」では、とうとう久絵と結ばれる事になり、このシリーズで、大団円とも言えると思う。ここでシリーズが終わっても不思議ではないのだが、あと最終巻まで3巻残っている。じっくり味わいたいと思う。あと、まだどういう話が付け加わるのだろうか?永遠に終わってほしくないシリーズだったが、それも仕方がないのだろう。

縁の川(風の市兵衛㉔) 辻堂魁

表紙より

 市兵衛が事件解決を頼まれて大坂に戻ってくる。昔の淀川の景色、川幅の広さが江戸の大川より大きい、米取引の様子など、大阪育ちの私にも、そうだったのかと思うことが沢山出てくる。四ツ橋がかつては4つの橋があるのは知っていたが、それぞれの名前が出てきた。千日前が処刑場だったのは知っていたが、黒門がその墓所だったこと、新町がかなり大きい色町だったことなど、とても面白かった。何より良いなあと思ったのは、市兵衛が昔世話になった店の隠居の大阪弁、本当に今の言葉と違って上品だ。同心との掛け合いも参考になる。 ストーリーだが、探し当てた文一郎と小春が「敵討ちをしたい」と言ったことで、一気に終盤に入る。その敵が身内の裏切りであえなく死んでしまい、懐かしい人との別れもなく、少し物足らない終わり方に感じた。家を引っ越したためか、最近交わる人々が、かつての酒屋さんで集まる仲間から、地蔵文六親分逹との関りが多くなった。前に出てきた人たちとの様子が聞けないのはちょっと寂しい気もするが、新鮮さという面ではうまい運びかなとも思う。そういえば、朝ドラなどでも、主人公の転居に伴い、地元編や東京編などで、ガラリと出演人物が異なり、○○編になって、面白くなくなったとの話も聞くが、ちょうどそれに似た場面設定が小説などでも出来るんだなと発見した。佐伯泰英の小藤次のように、付き合いのある人が満遍なく登場するのも、気持ちが落ち着く気がするが、何故かマンネリだなあと感じる。こういった使い分けに注目して小説を読むのも面白い。市兵衛が41歳になり、独り身だ。前に破談になって、その後こういった話は出てこない。このシリーズの最初の方で出てきた、素敵な女性の方々を思い出し、どうなるのかなと思う。ああ、この女性と結ばれると良いなあと思うが、市兵衛にはその気はないようだ。いつも女性の市兵衛への思いを読者に感じさせない、結ばれないまま終わってしまう隠居が、裕福とは程遠い、市兵衛を見て、名利や金にこだわらないあんたらしい立派な生き方だ、とほめるが、生涯独り身であってもそれはそれでいい、と市兵衛なら思っているのかもしれない。こういった市兵衛の内面の気持ちや悩みがこの小説では一切出てこない。彼はクールな孤高の人だ。鈴木英治の口入屋用心棒シリーズに出てくる、富士太郎など独白のしまくりで、大きく異なるなあ。私が市兵衛シリーズで、ちょっと辛く感じるのは、一番最初に、殺人などの事件があって、その後に詳しく事情がわかってくる、というストーリー運びだ。いかにも理不尽な殺され方をするところが、何故か読むのがつらい。今回は殺人を犯した遊女の自殺のシーンから始まるが、それほど辛くなかったので、もう一度最初からじっくり読みなおしてみたいと思った。

サダの事件簿 菊池貞幸

 実際に北海道で警察官をしていた人の話。私の品性と比べて、この人の品性は本当に尊敬に値すると思う。特に第3話の家出娘(不良少女の更生の話)には感心した。ちゃんと叱ることだ大切だがその叱り方が刑事の仕事からの経験が聞けて参考になる。養護教諭から、教え子の女子生徒がチンピラの家に入り浸りになっている、連れ戻して欲しい、との依頼を受ける。早速出かけて、居留守を使うチンピラの家の前で、「16歳の女の子と遊ぶと合意があっても条例違反になる」と脅しをかける。娘は自宅に戻るが、「なぜ警察に行ったのか」と逆ギレしているので、娘を叱ってほしい、と電話が入る。茶髪の娘はサダさんを見て出ていこうとして止めても無視する。ここでサダさんは、「こういう娘は優しい言葉だけじゃダメだ」と判断して、「サカリのついたドラ猫じゃあるまいし、学校をさぼって男あさりをしているのか」娘は目を皿にして怒り、「なに、言ってんのさ」私は娘の襟首をつかみ、軽く足払いを掛け、床に叩きつけてやった。娘はそのまま泣き伏す。これはまずかったのかなと思うが、父親に矛先を向け、「やいやい親父さんよ。こんなになるまで良く放っておいたな。バカ親父さんよ。あんたがバカ娘を甘やかして育てるから、このざまよ」と、娘の前で思い切り罵倒した。娘がそのとき、泣き顔を私に向け、「お父さんは悪くない」、仕事は終わったな、と私は思った。→私にはとてもできなかったが、この一連の呼吸ってとても凄いと思います。この後、娘は更生し、チンピラも事件を起こさなくなる。どういう相手であっても気にかけて連絡を取り続けていれば、事件が事件にならずにすむ、という彼の哲学を聞かされる。 又第4話の自転車泥棒も青少年の歩道の話だ。自転車のかっぱらいの少年とのやり取りが面白い。目を付けた男子生徒の横にさりげなく近づき会話を聞く。「チャリ、かっぱらっていくか。」「おう、これ、鍵ついていないぞラッキー」これを聞いた後、少年たちに近づく尋問する。警察だと知り青ざめて、「借りるつもりだったんです」「何をふざけたことを言ってやがるんだ。お前たちの会話を聞いていたら、チャリ、かっぱらうと言っていたじゃないか」「本当に借りるだけで後で返しに来るつもりだったんです」と更に言い逃れようとする。→ここで負けずに「寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ。中略 そんな屁理屈通用すると思ってんのか。おい、こら。」一括すると。高校生らはとたんにシュンとして、「僕たちが間違ってました」と深々と頭を下げた。謝られると弱いサダさんはそのまま説教をして放免する。そのすぐ後に、常習の不良少年を捕まえるが、盗まれた自転車の持ち主の主婦に、自分で稼いだ金で、弁償するように進める。実際に彼はダムでアルバイトをして、返金し、更生していく。 第9話 一人の韓国人の生涯 この話は北海道に住み着くことになった、韓国人の話だが、彼は韓国で農家の長男として生まれたが、日本の官憲に無理やりに樺太の炭鉱に連れていかれる。ソ連軍の侵攻から逃れる途中、彼は日本軍に焼き殺されかけるが逃れて、ソ連軍につかまり、日本人女性と結婚し、韓国への引き上げができず、やむなく妻の実家の北海道にやってくる。その後の彼の苦労話が続くが、やはり日本は韓国にひどい事をしていたのだなあ、という事実を知り、今の日韓の事件を聞くたびに少し違う印象を持つようになった。

夢を釣る(吉原裏同心抄5)佐伯泰英

  前の巻で密かに吉原会所の四郎兵衛頭取から頼まれていた事柄が、彼の後をついで、八代目を就任してほしいと、いった内容であったことが、明らかになる。幹二郎は熟慮の末、それを受ける決心して、番方の仙右衛門を訪れ、彼の支持を得たところで、周りにも打ち明ける。 伊勢亀のご隠居の墓参りに、汀女は私は行かないので「幹二郎と麻」の二人で行くように勧め、なおかつ「麻になさけをかけておあげなさい」とまで、言ってしまう。巻末で(幹二郎の胸に麻の身体が寄せられた)というところで終わる。又、幹二郎が付き合う2人の同心、吉原の担当のダメ同心、村崎と出来物の桑平同心をそれぞれの窮地から救ってやる。時間の楽しみは、八代目となった後の幹二郎への周りの人たちとの関わりあいが、どう変わっていくのかが特に楽しみだ。

新酔いどれ小藤次「夢三夜」(佐伯泰英)

 今回は小藤次の妻の「おりょう」の家族と付き合いを深めるところが中心の感じで、そのほかはいつものメンバーとの交流のホームドラマの1シーンのような感じだ。駿太郎は12歳になり、剣の腕も更に上がり、又スリを捕まえる。その褒美に小藤次家族が南町奉行から直接褒美をもらう。お夕ちゃんも飾り職人としての腕を上げる。旧森藩の池端用人は人間的に益々成長し、小藤次とのつなぎ役となり、旧森藩との親交も順調に深まる。久慈屋の主、昌右衛門の伊勢参りに同行することが決まり、次回の下準備もできたというところ。今回、おりょうの兄が初めて登場する。靖之丞と言う兄は、おりょうと昔から仲が悪く、自分の不心得から養子先を離縁されたのを、小藤次達に恨みを向ける。最後は父の北村舜藍自ら、小さ刀で刺し殺すこととなる。この一連の下りは、今回何もなかった剣げきシーンを入れる必要があったのかもしれないが、ちょっと無理があるような気もする。久慈あかり行灯を作る際に知恵を借りた、吉原の太夫の名前が、菅琴という名前で、目下吉原で一二を争う花魁になったとの紹介があり、もう彼女が出てきたのは随分まえだったなあと思いだした。ひょっとして、再登場あり?

道警シリーズ③「警官の紋章」(佐々木 譲)

 道警シリーズの②「警察庁から来た男」を読んで、これは①から出ている人たちが、引き続き登場していることがわかり、期待して本を開く。小島百合婦警がストーカー被害にあっている女性を助けるために、待機中の主任の静止をものともせず、犯人を拳銃で肩先を打って、逮捕する、というころから始まる。殺人犯逮捕が保護対象者の救出より優先するという主任の言葉に思わず切れそうになる。この小説のもっとも魅力的なのは、組織の中で、この警官魂を貫こうとする、主人公グループの生きざまだろう。 中心人物、佐伯刑事は、道警シリーズの①笑う警官で、事件を警察庁に持っていかれた、覚醒剤密輸事件を再度追うことになる。小島百合婦警は殺人犯逮捕と拳銃の腕を買われて、サミット担当特命大臣のSPの応援に当たる。津久井巡査部長は遊軍として、北見警察署を拳銃をを所持したまま疾走した日比野巡査の捜索にあたることになる。日比野巡査の父も警察官であったが、2年前の道警を揺るがした、大汚職事件の関係で自殺をしている。その黒幕が当時の本部長の五十嵐であることを知り、彼を殺すために失踪したのだ。舞台は洞爺湖サミット護衛の全国から応援の警察官が集まった結団式だ。一方、再捜査を始めた佐伯も同じ事実を知る。結団式にはその本部長もサミット担当特命大臣も一合に会する。そのクライマックスに向かい全員が駒を進めていく。第1巻からのつながりと、目まぐるしい展開で、結構ワクワクする。最後の佐伯刑事のどう幕引きをするのか、も興味を惹かれる。

風の市兵衛(弐)修羅の契り(辻堂魁)

文庫本カバーより

 前に読んでから時間があいたので、小弥太と織江という子供たちを市兵衛が引き取るに至った理由を忘れてしまっていた。子供たちの父親が市兵衛を襲う刺客となり、逆に市兵衛に切られてしまうという関りであったのがわかる。家族が増えたので、新住所に引っ越しをする。そこに恐らく先回知り合いになった「文六とお糸」の岡っ引き夫婦が、引っ越しのお祝いを持って訪れる。風の市兵衛シリーズでは、冒頭に、殺人事件が起こり、その後に市兵衛がその事件に絡んで解決を行う、というパターンがよくとられる。今回はその「文六とお糸」を殺めるように「多見蔵」という裏家業の人間が依頼するところから始まる。加害者と被害者がすぐ登場するので、わかりやすくてよい。 今回の市兵衛の奉公先は、大久保東馬家。私の記憶違いでなければ、初めてあまり感じの良くない主人に仕えることになる。大抵は奉公先には、困った問題を抱えた、良き人たちがいて、その一家の苦境を助ける筋書きがほとんどだったのだが。この感じの悪い大久保家の人たちから、度々侮蔑を市兵衛は受ける。この家の用人の大木駒五郎が黒幕で何か画策をしているのがわかる。私ならさっさとこんな家には暇をだしてもらうが、市兵衛はそれをせず、密かに大木の素性を探る。しかし、大木の讒言により、市兵衛は大久保家から暇を出され、巻末で大久保家は、今でいう破産になってしまった、と知らされる。裏家業の多見蔵は仲の良かった刺客を切られる原因になった、「文六とお糸」と市兵衛に深い恨みを抱き、殺害を依頼したのがわかってくる。巻末のクライマックスの斬り合いで、市兵衛との直接対決で倒される。市兵衛が引き取って面倒を見ていた、「小弥太と織江」にも市兵衛が父親を切った人、ということが明らかになる。「小弥太と織江」の叔父さんが、消息を頼りに市兵衛を訪ね、仔細を知り、結局は国元に連れられて行く。父親になる覚悟を決めて、引っ越しも行い、かいがいしく世話をした市兵衛だが、さみしく一人暮らしに戻ることになる。市兵衛も40歳になったので、嫁とりの話も又出てくるだろうが、恐らくずっと独り身を続ける気がする。市兵衛がそこのところをどう考えているのかは全く出てこないので、わからないんだけれども。

ワクワクすることが人生にお金をつれてくる(本田 健)

本の表紙より

 自分の大好きなワクワクすることをやり、それをきわめてお金を稼ぎなさい、という趣旨。最初は「そうすると、こんなにいいですよ」と利点を述べてくれる。しかし、後半では、「好きな事で成功するにはこういう心構えでいないといけません」、と結構かなりの注意点が出てくる。その点が、非常に現実に即していて良いなあと思う。私も今いくつかしたい事はあり、この本を読む前から、残りの人生も短くなってきており、何か絞り込みをしないといけないなあと思っていた。実行に移して行くのに背中を押してくれる本だと思う。

LINE公式アカウント(堤 建(たけ)拓(ひろ))

表紙カバーより

LINEの公式アカウントの解説本

 LINEの操作をもっと知りたいと手に取ったが、LINEの公式アカウントの解説本であった。企業やお店がLINEを使っていたのを知っていたが、それはLineの公式アカウントを使っていたことを知らなかった。著者はこれが、集客に非常に便利であると強調し、その解説から具体的な集客方法を解説している。

p146 ブログで友達を集める方法

 ブログのページにLINEのアカウントを貼る。そこにLINE登録をした際の特典を記入する。一旦LINE登録をしてもらうと、知らせたい情報を送ることができる。 又、使ったことがないが、instagramのlinktreeが便利である、等の情報がある。

p155 大切な事は全てのSNSを活用する事ではありません

 全てを網羅しようとすると、一つ一つが薄くなってしまいます。あなたのビジネスにあったSNSや得意なSNSだけ使えばOKです。 →方法さえ知れば、あれもこれもと欲張ってしまうが、取り扱いに習熟する時間も手手間も必要なので、大切なことだと思う。

LINE公式アカウントでは多岐にわたる分析ができる

 LINE公式アカウントで使わない手はない機能に分析機能があります。配信だけではなく、チャットの分析など多岐にわたる。

P195 give精神の大切さ

私は独立した当初から、「相手本位」という考え方を掲げて、ビジネスをしています。相手が困っていることをまず解決したい。どうしたら相手の役にたてるだろうか、そんなことを考えています。よくも、悪くも、相手が喜んでくれたら、自分の商品やサービスが売れようが、売れなかろうが、どちらでもいいと考えています。→チャットを使って、経営する英会話スクールに来てもらう前に、十分意思疎通をはかる結果になっている。ただ、儲けたいと思う心には思いつかない発想だと思う。