新酔いどれ小藤次「姉と弟」佐伯泰英)

文庫本カバー表紙より

① 駿太郎は11歳になり、背丈も小藤次を超えた。船の操作も研ぎの腕も技前を上げた。 ②飾り職人の父に弟子入りしたお夕が気鬱になり、それを駿太郎が立ち直らせる。 ③駿太郎のなくなった実の父母がどこに葬られたかを、小藤次が駿太郎の為にあきらかにしようと調べ始める。「明日にも訪ねようと小藤次は胸に刻み込んだ」とあって、その翌日に駿太郎の父の調査を始める。この行動に移す迷いのなさ、は見習わないとダメだな、を私への戒めとしました。④ 小藤次が3人の悪事を働いた強盗を捕まえる。それが縁で北町奉行と奉行所に関わりのある岡っ引きや、空蔵のライバルの読売屋と新たに知り合いになる。 ⑤そして駿太郎の実父母の墓が完成する 。割と、今回は沢山の事柄の発展があった巻でした。両奉行所と関りができたことで、今後の事件の量も増えるし、駿太郎の活躍の場が増えてきそうです。

突きの鬼一(2)(夕立)(鈴木英治)

突きの鬼一シリーズの2巻目 前回は鬼一こと一朗太の殺害を企てたのが、実母と知り、衝撃を受けたところからの続き。鬼一は江戸に向かう途中に助けた裕福な青物商の徳兵衛の店に腰を落ちつける。この徳兵衛が毒キノコを販売し、数名の死者を出した容疑で奉行所に捕らえられる。鬼一と家来の神酒藍蔵(みきらんぞう)が懸命な捜査を行い、その危難を救うことが、今回の中心だ。江戸時代なので人に会って犯人を絞り込んで行くやり方で、これは作者の別のシリーズでも、物語のストーリー運びの同じ手法がとられている。又一朗太が博打を始めた頃の仲間の危難を救ったり、以前助けた美人の壺ふりや、江戸にいる奥方に会ったりと、今後のストーリーの展開にからむだろう、人物も出てくる。今回、服部左門という、定廻り同心と知り合いになる。この同心が鬼一を信頼できる人物と見込み、「徳兵衛は罠にはまったと思う。ついては真犯人探しを願いたい」と頼み込む。本当はこんな頼みを同心がするはずはないと思うのだが、鬼一の活躍により、真犯人を見つけ、最終的に徳兵衛の嫌疑を晴らす。その事を徳兵衛は深く恩に着るのだが、彼とこの実直な同心との二人が、鬼一の江戸暮らしの大いなる支えになるのは間違いないだろう。

突きの鬼一(鈴木英治)

(図書館の解説) 美濃北山三万石の主・百目鬼一郎太は、城下外れの賭場で命を狙われた。襲撃者の中に一郎太の年貢半減令に賛同してい者がいたことから、一郎太は藩主の座を降りることを即刻決意。弟に後事を託して単身、江戸に向かう 
 (読後感)
題名から好きな殺陣が多い作品とわかる。鈴木さんのは「こう思う、ああ感じる、」と心の中のセリフが多く、なんとなくほんわりとした感じを受けます。百目鬼は(どうきめ)という珍しい名前で、すぐ覚えますね。物語の設定は①お母さんが実母なのに一朗太を嫌って、次男をかわいがる。②一朗太には少し先の未来を予見できる能力があって、丁半博打でお金を稼げる、とまさに小説の世界のお話です。そして、藩を抜けて江戸に向かう途中に、美人の壺ふりや、裕福な青物商を助ける、というよくどの小説でも見かける仕掛けがあります。定番ですが、何となく面白そうな展開を予測できて、第2巻を読むのが楽しくなりますね。最後は国もとから、刺客が現れ、勝を得ますが、刺客の暴露で黒幕が実母と知り、衝撃を受けるところで次巻へ引き継がれます。

ファーストマン・ニールアームストロングの人生(ジェイムスRハンセン)

NHKのプレミアムカフェで紹介があり、こんなすごい宇宙飛行士だったのかと思った人の伝記。上下2巻のハードカバーでかなりボリュームがある。冒頭は1969年の打ち上げの様子だが、誰々が来たとの記述が多く、ちょっと読むのがしんどく、第2章のアームストロングの両親の出会いのところまで飛ばし読みをしようと思う。ただ、100万人近くの見物客があり、世界中がイデオロギーを超えて注目したイベントだったのがよくわかる。

12単衣を着た悪魔(内館牧子)

ストーリーと心理描写が面白い!

源氏物語をちゃんと読んだことがなかったが、入門書のような感じで勉強になった.この題名は「プラダを着た悪魔」からとったとのこと。

源氏物語という架空の世界にワープするというところが、新鮮。

過去の劣等生の経験が活きる!

主人公が平安時代で奥さんをもらった後、悲しい経験をすることになるが、現代で経験した自分の辛い経験から、独特の生き方や貴人たちとのつきあいをしていく。そこが余韻が残る。