道警シリーズの②「警察庁から来た男」を読んで、これは①から出ている人たちが、引き続き登場していることがわかり、期待して本を開く。小島百合婦警がストーカー被害にあっている女性を助けるために、待機中の主任の静止をものともせず、犯人を拳銃で肩先を打って、逮捕する、というころから始まる。殺人犯逮捕が保護対象者の救出より優先するという主任の言葉に思わず切れそうになる。この小説のもっとも魅力的なのは、組織の中で、この警官魂を貫こうとする、主人公グループの生きざまだろう。 中心人物、佐伯刑事は、道警シリーズの①笑う警官で、事件を警察庁に持っていかれた、覚醒剤密輸事件を再度追うことになる。小島百合婦警は殺人犯逮捕と拳銃の腕を買われて、サミット担当特命大臣のSPの応援に当たる。津久井巡査部長は遊軍として、北見警察署を拳銃をを所持したまま疾走した日比野巡査の捜索にあたることになる。日比野巡査の父も警察官であったが、2年前の道警を揺るがした、大汚職事件の関係で自殺をしている。その黒幕が当時の本部長の五十嵐であることを知り、彼を殺すために失踪したのだ。舞台は洞爺湖サミット護衛の全国から応援の警察官が集まった結団式だ。一方、再捜査を始めた佐伯も同じ事実を知る。結団式にはその本部長もサミット担当特命大臣も一合に会する。そのクライマックスに向かい全員が駒を進めていく。第1巻からのつながりと、目まぐるしい展開で、結構ワクワクする。最後の佐伯刑事のどう幕引きをするのか、も興味を惹かれる。