NHKでドラマをやっているので、原作を読んでみた。 図書館の内容紹介「切腹した父の無念を晴らすという悲願を胸に、武家の出を隠し女中となった菜々。意外にも奉公先の風早家は温かい家で、当主の市之進や奥方の佐知から菜々は優しく教えられ導かれていく。だが、風早家に危機が迫る。前藩主に繋がる勘定方の不正を糺そうとする市之進に罠が仕掛けられたのだ。そして、その首謀者は、かつて母の口から聞いた父の仇、轟平九郎であった。亡き父のため、風早家のため、菜々は孤軍奮闘し、ついに一世一代の勝負に挑む。日本晴れの読み心地を約束する、極上の時代エンターテインメント。」 この紹介にあるように、最後はハッピーエンドで、今までの葉室麟さんの小説の中では、どちらかというと珍しいのではないかと思う。菜々は心の中で思っていた、当主の市の進と結ばれるが、菜々に心を寄せていた従兄の宗太郎の気持ちはいかばかりかとそちらの方が気になって、あまり素直に喜べなかった。菜々が当主を好きなのはわかっている、俺も菜々が好きだから、それぞれが二人の思いを貫こう、と菜々へ野菜を届け続ける。そして、菜々が奉公先を辞めさせられたときに「宗太郎さんは私を嫁にしたいと言ってくれたのですけど、私は旦那様にずっとお仕えしようと思ってましたから断ったんです。女中をやめさせられたからといって、いまさら宗太郎さんに嫁にもらってほしいなんて言うわけにはいきません」と、宗太郎に嫁ぐ気はないと言う。菜々が当主と結ばれたと知って、宗太郎は「菜々の思いがかなって良かった」という気持ちより、失恋の痛手の方が大きい気がする。