駿太郎、腕を上げる
駿太郎は順調に成長して、背丈も小藤次より2寸も高くなる。前の巻で小藤次に弟子入りした、二人の旧森藩の侍も腕を上げて、これらの脇役が活躍する場面が、だいぶと紙面をさくようになった。又、新たに破戒坊主の「瑞願」というご近所さんが現れる。佐伯さんのシリーズには大抵、自分中心キャラの人が出てくるが、小藤次シリーズでは、又一人加わって随分人数が多いように思う。何か意図するところがあるのだろうか。今回は全巻で小藤次に懲らしめられた悪い浪人達の親玉との対決になる。小藤次と脇役人の活躍で悪は退治されることになります。小藤次は自作の竹とんぼを武器にして、例えば「すっと、頬を傷つける」をいうような、攻撃を見せます。私も子供の頃竹とんぼで遊んだとき、確かに空に向かってとぶものの、コントロールなど、とてもできないおもちゃだったように思います。それが、有力な武器になるとはとても思えないけれど、今回同じ事を駿太郎がしたときは、これはあり得へんやろ、と思いましたわ。
駿太郎、人を切る
何と今回、駿太郎が悪党を遂に切り殺します。11歳ですよ。その後、特に本人が殺人のショックを感じたというシーンも出てきません。すごいです。津本陽の柳生兵庫助のシリーズで、やはり、少年の兵庫助が爺様からの教え通りの剣使いをして、悪人を懲らしめる場面が出てくる。それは新陰流の厳しい教えが、兵庫助の身に着いた様子を見て、感動したのを思い出します。駿太郎の場合は感動より、なんぼなんでも早すぎひん?と感じますわ。